狭心症になると、胸の圧迫感や痛み、苦しさを感じるようになり、場合によっては顎やみぞおち、背中や肩、首などにも痛みが出ることもあります。心筋梗塞になるとこれらの症状がさらに長く続き、かなり強くなります。放置しておくと生死にかかわる可能性もあるため、早めに治療を受ける必要があります。

狭心症や心筋梗塞になる直接的な原因は、冠動脈の動脈硬化です。そして、動脈硬化を引き起こす要因としては、肥満、加齢、ストレス、タバコなどがあります。また、高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病にかかっている方は動脈硬化が進みやすいため、早めの診察、治療が必要です

狭心症や心筋梗塞の原因である動脈硬化がそれ以上進行しないように、生活習慣を改善したりお薬を処方したりします。また、既に狭心症や心筋梗塞になったことのある方については、再発や発作を抑える薬を使用します。狭心症の軽い症状であったとしても、放置しておくと少しずつ重症化していき、やがて心筋梗塞を引き起こすことは珍しくありません。少しでも心配な方は、早めに診察を受けておくようにしましょう。

●脈が速くなる（頻脈）
脈が1分間に100回以上になり、心臓がドキドキした状態です。脈拍が速くなると、動悸や吐き気、冷や汗、意識消失といった症状が出ます。

●脈が遅くなる（徐脈）
脈が1分間に50回以下となり、脈拍数が少なくなりすぎることで、全身に十分な血液を送り出すことができなくなってしまいます。症状としては、息切れ、ふらふらする、めまいがする、意識が遠のくといったことがあり、場合によっては倒れてしまうこともあります。

●脈が飛ぶ・乱れる（期外収縮、心房細動など）
ほぼ一定のリズムで起きている正常な脈とは別に、余分な心臓の収縮しが発生し、不規則なリズムになる状態です。脈が跳んだように感じる、胸に痛みが出る、胸に不快感を覚えるといった症状があります。

脈が乱れた時に疑われる代表的な病気は心房細動です。心房細動そのものが、ただちに命を脅かすことはありませんが、心房細動があると心房内に血のかたまり（血栓）ができて脳梗塞の原因となったり、心臓の機能が低下して心不全が引き起こしたりすることがあります。

心臓は体内で発生する電気信号によって収縮を繰り返していますが、何かしらの原因でそれが正常に働かなくなることで不整脈になります。その原因は、心臓の疾患や肺の疾患、甲状腺異常、加齢、ストレス、睡眠不足、栄養の偏り、運動不足など多岐に渡りますので、きちんと検査を受けて、重大な病気が潜んでいないか確認することが大切です。

心不全とは、心臓の働きが弱くなり、全身に十分な血液を送ることができなくなったことを言います。ある特定の病気の名称ではなく、虚血性心疾患や心筋症、弁膜症といった様々な心疾患によって起きる状態の総称で、症状の種類や程度も様々です。

ほとんどすべての心疾患が心不全を引き起こしますが、それ以外にも高血圧、糖尿病などの生活習慣病、気管支炎や肺炎、塩分の摂り過ぎ、過労、ストレス、アルコールの摂り過ぎなども心不全の原因となります。

心不全を引き起こした原因の病気が落ち着いても、何かが引き金で再び心不全が起きる可能性があります。一度でも心不全になったことのある方は、日頃から以下の点に気をつけるようにしましょう。

・過労
・風邪などの感染症
・長時間、高温の入浴
・過度の運動（適度な運動は必要）
・過食による肥満
・喫煙
・塩分や水分の摂り過ぎ
・飲酒
・睡眠不足
・服薬の中断
・ストレス
など

急激に心不全の症状が見られる場合は（急性心不全）、すぐに病院へ行き、酸素吸入や心臓の働きを助ける点滴で治療します。一方、状態は安定している場合には（慢性心不全）、症状を軽くしたり、心臓の悪化を抑える薬により治療します。また、心不全のもととなる生活習慣病などを予防することも大切です。息切れ、むくみなど気になる症状のある方は、早めにご相談にいらしてください。