生活習慣病
生活習慣病と言えば、高血圧、脂質異常症、糖尿病などが代表的で、メディアでも度々その怖さが取り上げられています。しかし実際には「自分には関係ない」と思っている方も多く、悪化してからご相談に来られる患者様もいらっしゃいます。
生活習慣病はわかりやすい症状が出ないまま進行していくのが特徴で、一つ病気を発症すると連鎖的に他の生活習慣病も誘発してしまいます。そうなると、薬の種類は増えていく一方で、日常生活の中でできないことや食べられないものも増え、生活の質が大幅に低下してしまいます。また、心筋梗塞や脳梗塞で命を落としたり、寝たきりになる場合もありますので
発症前に予防することが一番大切ですが、発症した場合でも、早期に発見し、適切な治療を開始すれば、病気の進行を抑えられます。以下に当てはまる方は、一度当院で生活習慣病の検査を受けられることをお勧めします。
●生活習慣病チェックリスト
・健康診断で異常値が出た(血圧、コレステロール、中性脂肪、血糖など)
・体重が急激に増えた/減った
・タバコを吸っている
・ほとんど運動していない
・睡眠不足
・ストレスが多い生活を送っている
・暴飲暴食をする
高血圧
高血圧とは
血圧が高い状態のままであることを高血圧と言い、「収縮期の血圧が140mmHg以上」または「拡張期の血圧が90mmHg以上」の状態が高血圧であると定められています。放置しておくと動脈に負担がかかって動脈硬化が進み、心臓も疲弊します。その結果、心筋梗塞や狭心症といった心臓疾患や脳梗塞、脳出血などを引き起こすこともあるので、血圧が高い状態が続いている方は早めに治療を開始するようにしましょう。
高血圧の症状
高血圧はほとんど症状がなく、他の疾患を引き起こした後に初めて気づくケースが少なくありません。そのため、定期的に血圧測定をして、早期に発見できるようにする必要があります。
高血圧になる原因
高血圧の主な原因としては、塩分の摂り過ぎやストレス、過労、運動不足といった生活習慣があり、他にも腎臓病やホルモン異常が原因となっていることがあります。また、加齢によって血管が老化することでも血圧が高くなります。
高血圧の治療
生活習慣が原因なのか、他の病気が原因なのか、原因によって適切な治療は異なります。まずは問診や各種検査などによって血圧が高くなっている原因を明らかにし、運動療法や食事療法、禁煙、そして必要であれば薬も使って治療を進めていくことになります。塩分の摂り過ぎが主な原因の場合、減塩に努めるだけでも血圧が下がることがあります。内服薬については、自分に最も合う薬で治療を続けていくことが大切で、経過を見ながら薬の量を増やしたり、減らしたり、種類を変えたりします。
脂質異常症(高脂血症)
脂質異常症(高脂血症)とは
脂質異常症とは、簡単に言うと血液がドロドロの状態になっていることで、「LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が140mg/dl以上」「トリグリセライド(中性脂肪)が150mg/dl以上」「HDLコレステロール(善玉コレステロール)が40mg/dl未満」のいずれかに当てはまっていると診断されます。放置しておくと血管の動脈硬化を引き起こし、やがて心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気を発症する原因にもなります。
脂質異常症(高脂血症)の症状
ほとんどの場合、脂質異常症による直接的な症状はありませんが、場合によっては肘や膝にコレステロールの塊(黄色腫)ができることがあります。
脂質異常症(高脂血症)になる原因
動物性脂肪やコレステロールの摂り過ぎ、高カロリーな食事、お酒の飲み過ぎ、運動不足、肥満、タバコなどが脂質異常症の原因となります。
脂質異常症(高脂血症)の治療
他の生活習慣病と同様に、食事療法と運動療法、そして薬によって治療を進めていきます。特に食事療法については、血中の悪玉コレステロールが多いのか、中性脂肪が多いのか、善玉コレステロールが少ないのかによって、気をつけるべき点は異なります。運動療法については、善玉コレステロールを増加させ、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らすことができる有酸素運動が中心となります。
糖尿病
糖尿病とは
飲食物に含まれている糖分は、私たちの体内でインスリンと呼ばれるホルモンによって細胞の中に取り込まれ、エネルギーとして使われます。しかし、このインスリンの働きが悪くなる、分泌量が減る、あるいは全く作られなくなるということがあり、結果的に血糖値が高い状態になってしまうことがあります。この状態を糖尿病と呼びます。「空腹時の血糖値が126mg/dL」や「75g経口ブドウ糖負荷後2時間値200mg/dL以上」「随時血糖値が200mg/dL以上」「HbA1cが6.5%以上」のいずれかにより診断されます。
※参照 日本糖尿病学会 http://www.jds.or.jp/modules/education/index.php?content_id=11
糖尿病の症状
喉が渇く、尿の回数が増える、体重が急に増える・減る、疲れやすくなる、全身がだるい、手足がしびれるといった症状があります。
糖尿病になる原因
大きく分けると、遺伝と生活習慣があります。遺伝などによって全くインスリンが分泌されない場合は「1型糖尿病」、食事や運動不足、肥満、ストレスなどの生活習慣によってインスリンが出にくくなったり働きが悪くなったりする場合は「2型糖尿病」と言います。
糖尿病の治療
薬に頼るだけでなく、食べ過ぎに注意し、適度な運動をすることで血糖値を下げることも効果的です。糖尿病は「網膜症(視力が落ちる、失明する)」「神経障害(手足がしびれる)」「腎症(尿が作れなくなり透析が必要になる)」といった合併症を引き起こし、生活の質を大幅に低下させてしまうのが大きな特徴です。早めに対策をすることでこれらの合併症を防げる可能性は高まりますので、早期発見・早期治療を心がけるようにしましょう。
メタボリックシンドローム・肥満
メタボリックシンドロームとは
体に必要以上の脂肪がたまっている状態を肥満といいます。お腹に脂肪がつく内臓脂肪型肥満とおしりや太ももに脂肪がつく皮下脂肪型肥満があり、内臓脂肪型肥満に高血圧、脂質異常症、高血糖が合併した状態をメタボリックシンドローム呼びます。メタボリックシンドロームには以下の診断基準があります。
●内臓脂肪が多い(ウエストが男性85cm以上/女性90cm以上)
かつ
●「脂質異常:血液がドロドロ」「高血圧:血圧が高い」「高血糖:血糖値が高い」のうち2つ以上当てはまる
肥満自体は病気ではありませんが、メタボリックシンドロームに該当する人は動脈硬化が進行しやすく、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす可能性も高いため、早めに改善する必要があります。
メタボリックシンドロームの症状
上記基準の通り、お腹周りが出ていることが最大の特徴です。また、高血圧や脂質異常症、高血糖などが合併するので、それらの症状がみられる場合も早めにご相談ください。
メタボリックシンドロームになる原因
最大の原因の一つは食べ過ぎですが、カロリーが高いことだけでなく、塩分の摂り過ぎや野菜不足、寝る前に食べるといった食事をとる時間などもメタボリックシンドロームの原因となります。また、ストレスや睡眠不足、運動不足、タバコといった生活習慣のほか、加齢や遺伝なども原因としてあげられます。
メタボリックシンドロームの治療
カロリーや脂質、そして塩分の摂取量を調整し、寝る直前は食事をしないようにします。また、お酒やタバコは控え、できるだけ十分な睡眠時間を確保するようにします。さらに、運動を習慣化することも重要です。